砂場

これは、ただの砂場です。

書きたいことがあるのに、言葉が散らばってうまくまとまらないときがある。気持ち悪く思い、書いては消しを繰り返す。この状態を「筆が乗らない」だと思っている。いま、筆が乗らない。もどかしい、楽しくない、おもしろくない。

はんたいに、するすると言葉が組立っていくときもある。思考するよりも先にアウトプットがある(ように感じられる)。あまりにピタリとハマるので、もしかして自分の言葉ではないのではないか、と不安になりもする。これは筆が乗っている状態。

思考よりも感情が先立つときは、いちばんおもしろい。今まで、文章を書いていてこの感覚はなかった。この一年半で集中して二次創作をして、はじめて知った感覚だった。感情の体験に近い。状態をあらわすために、適切な言葉を探す。その感情を思い出すようにあとで読み返す。第三者が読んだときにどう思うのかは分からないが、伝わればよりうれしい。

「筆が乗っている」状態の再現方法が分からない。たくさん歩いたあとや、集中して映像作品を観たあと、しずかな時間にひとりで起きているとき、書けるような気がして試しに状況を作ってみる。うまくいくときもあれば、いかないときもある。書けるときの自分が別人のように思う。もう二度と書けないような気がしてくる。

まとまった時間は必要に思われる。30分が4回と、2時間が1回ではまったく違う。こまぎれに書き進めることはできない。

趣味なのだから好きなときに書けばいい。分かってはいるが、この体験が何度もできれば最高に楽しいのになあと思う。そこにうまくたどり着けないときの苦しさで嫌になる。嫌になるのに、またあの感覚がほしいなと思い、うなりながら文字を打っている。

こうやって書くと自分が「書ける」みたいな、ずいぶんな態度に見える。えらそう。べつになにか特別なものが書けるわけではない。一年半前に書いたものはもう読み返せない。改行時の字下げもしたことがなかった。もっと自分で納得いくものを書けるようになりたいし、もっと創作を楽しんでみたい。もっとまとまった時間も体験もほしい。